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加藤 ゆき(名古屋栄店) | « Main

書評~どちらの道を選ぶ?左右に分かれた道『東京Y字路』(名古屋栄店・加藤)

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東京Y字路 

東京Y字路

横尾忠則/著
出版社:国書刊行会

ISBN 978-4-336-05146-2 ( 4336051461
刊行日:2009.10
3,990
円(税込価格)

横尾忠則氏が描く力強い色彩の絵は、目にするたびにぐっと引き込まれてしまいます。その絵画作品において、ここ10年ほど、Y字路が主題のひとつになっていたとのこと。東京と近郊の街に点在するY字路を描くための資料として撮りためていた。それを写真集として発表したのが、『東京Y字路』です。
 画家が写真集を出すおもしろみ、について話せるほど写真も芸術もわからない。でも、針先ほどの感性がこの本を捉えてなりませんでした。

 ふだん、私たちはなるべく最短ルートで目的地を目指します。初めての街で地図もなかったら、二股に分かれた道にさしかかったときに迷ってしまうのかもしれません。でもそうやって迷うことってほとんどないですね。このY字路、注意深く街をみれば、土地のかたちや生活に根ざして、意外とたくさんあるようです。

 ページをすすめていくと気づくことがあります。どの写真にも人が写っていないのです。コンピュータ処理で人工的に消したくはなく「人が消える瞬間」を待つことで、現れた表情であるといいます。ずいぶん前に出版された『Tokyo Nobody』(中野正貴・リトルモア刊)を思い出しました。こちらも誰も写っていない東京の街を切り取った写真集です。共通しているのは、確かに存在している街のはずなのに、人の気配がないというだけで、時間も空間も不確かなものに思えてくるところ。自分だけは確かであると思いたい。けれども、それを証明してくれる人は、いない。創造と死が同時に出現する瞬間。いったん心を空にしてもう一度最初から開いてみましょうか。

 目に飛び込むのは左右に分かれた道。さて、Y字路の中央に立つ私はどちらの道を選ぼうか。今ここで選択を迫られているような気迫に、背筋を伸ばす。進めば進むほど、選ばなかった道から遠ざかってゆくという、Y字路の怖さ。ぼんやりしていると、決めないうちにどちらかに吸い込まれてしまいそう。ひそやかに、しかし圧倒的な力を持って迫る覚悟に、ぞくり。

 

Y字路イラスト集のほうは書店ルートでの販売がないようで、横尾忠則氏のサイトで購入できます。切り取られた瞬間が、どのように絵に変換されているのか、併せて広げてみたいです。同じ風景を絵で見ても、私は同じことを思うのかな。

Tokyo nobody 

TOKYO NOBODY―中野正貴写真集
中野正貴/著
リトル・モア

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氏   名: 加藤ゆき
勤務店舗: 名古屋栄店
担当分野: 雑誌・実用・地図ガイド  干支がひと回り、ぐらい
趣   味 篠原美也子。ライブに出かけるのがライフワーク!
心に残る1冊 センセイの鞄
自分を簡単に: ほうっておかれるといつまでも食べ続けたり
          眠り続けたりしゃべり続けます。

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