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山地 恭子(日本橋店) | « Main

書評~魂を刳る美の原点『魯山人の書 ―宇宙に字を書け 砂上に字を習え―』(岡山シンフォニービル店・山地)

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魯山人の書 

魯山人の書
―宇宙に字を書け 砂上に字を習え―

山田和/
ISBN 978-4-582-20885-6   4582208851
出版社:平凡社
刊行日:20102
2,100
円(税込価格)

北大路魯山人と言えば「魯山人の美食手帖」(角川春樹事務所刊)や、「魯山人の料理王国」(文化出版局刊)、「魯山人味道」(中央公論新社刊)など魯山人自身の著書にあるように、料理家、美食家として星岡茶寮を演出して日本一の料亭にし、その傍ら画を描き、漆に手を染め、花を活け、作庭も試みる多彩な芸術家でありますが、この「魯山人の書」を読めば書道家として「魯山人の活動は書にはじまり書に終わった」北大路魯山人のことが非常によくわかります。
 「知られざる魯山人」(文藝春秋刊)の著者、山田和さんの最新作「魯山人の書」は、魯山人の一生を日本と中国の書道史の中に位置づけ書かれたものです。
 21歳で青年書家として活躍しはじめた魯山人が、多くの書家から影響をうけた様子を、多くの図版を取り混ぜながら紹介しています。
 
中国の書家、王羲之をはじめ、顔真卿、懐素があげられていますが、特に魯山人が心酔したのは書聖・顔真卿です。何事にもめげぬ独立独歩の精神と気位が生み出した顔真卿が書く、ふっくらとして素直かつ自由である書は、苦刻勉励して書の道に向かおうとした魯山人の生き様に重なる部分があったのでしょう、自分の書画専用の号として「魯卿」とし、「ろけい」と読んだほどです。
 また魯山人は晩年、良寛を「良寛様」と様をつけて傾倒しました。
 
妥協せず、お世辞を言わず、世俗的な芸術と芸術家のあり方を痛烈に批判することで自らの退路を断ち、そのことをバネにして未来を切り開くといった過酷な生き方を選んだ魯山人の晩年は非常に孤独で、良寛の書だけでなく、良寛の生き方や、人間に惚れ、賛美することで、魯山人の晩年の心の支えになりました。「山鳥のように素直でありたい。太陽が上がって目覚め、日が沈んで眠る山鳥のように…」と願った魯山人が、素直で無心である良寛の書に魅せられたのも理解できます。
 あとがきに山田さんは魯山人の書を編年で追うと、魯山人の魂の形と変化が浮き彫りになってくるとあります。自ら作った料理に相応しい器をという想いが陶芸家としての魯山人を確立させたことは「魯山人でもてなす」(平凡社刊)に掲載された様々な器の写真を見ればわかりますが、私自身が器に描かれた文字のほうになぜ心惹かれていたか?あの有名な椿文鉢よりも、染付の壷に書かれた「天上天下」の文字に圧倒されたのは、書の中で人生を模索していた魯山人の、誰よりも真っ当で純粋な魂を垣間見たからなのかも知れません。
 「魂を刳る美」と言った魯山人の芸術を、書を通して知ることができる1冊です。

魯山人の美食手帖 
魯山人の美食手帖
北大路魯山人/著
平野雅章/編
角川春樹事務所
4758433313

魯山人の料理王国 
魯山人の料理王国
北大路魯山人/著
文化出版局
4579200772

魯山人味道 
魯山人味道
北大路魯山人/著
平野雅章/編
中央公論社
4122023467

知られざる魯山人 
知られざる魯山人
山田和/著
文芸春秋
4163695702

魯山人でもてなす。 
魯山人でもてなす
コロナ・ブックス編集部
平凡社
4582634400

 

 

山地さん.jpg 

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氏   名: 山地 恭子(ヤマチ キョウコ)

勤務店舗: 岡山シンフォニービル店

書店員歴: 勤続19年。うち、芸術・美術書担当歴9年。
       新店オープン、リニューアルで全国の丸善の
       美術書を手がけた店舗は15店舗。
       2001年よりギャラリー担当、2005年より
       書籍全般と兼任。

最近こっていること: 今、ハマっているのは、店内のカフェ・ド・フォビアンにある白いチーズタルト。フランス産のチーズとサワークリームがあいまって絶品の味。カロリー高そうと思いつつ、甘い誘惑に負けて夕方おなか空くとついフラフラと買いに行ってしまうほどの美味しさです。

座右の書: 向田邦子「夜中の薔薇」(講談社文庫)収録の
「手袋を探す」、有元利夫「女神たち」(美術出版社)

自己紹介: 体力作りと、プヨプヨしてきたカラダにストップをかけるため、スポーツジムに通い出しました。腹筋もほとんど
出来ず、思っていた以上に体力が落ちているのに愕然!走って、自転車こいで、泳いでと地道にやりつつも、効果はでるのやら…

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