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インタビュー | 福原義春さん≪全1回≫ | « Main

インタビュー 福原義春さん~『私は変わった変わるように努力したのだ』

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福原 義春 (ふくはら よしはる)
1931
年東京生まれ。 1953 年慶應義塾大学経済学部卒業後、資生堂入社。 米国法人社長、商品開発部長、取締役外国部長などを経て、1987年第10代代表取締役社長。1997年代表取締役会長。資生堂をグローバル企業へ発展する礎を築き、2001年名誉会長、東京都写真美術館館長、文字・活字文化推進機構会長、企業メセナ協議会会長、かながわ国際交流財団理事長など公職多数。著書に『ぼくの複線人生』(岩波書店)、『猫と小石とディアギレフ』(集英社)『だから人は本を読む』(東洋経済新報社)ほか多数。

福原義春の言葉
私は変わった変わるように努力したのだ
福原義春著 求龍堂刊 1,260円(税込)
私は何者か
今日の<資生堂>を築き上げ『強運の経営者』『業界一のインテリ紳士』と呼ばれる男はいかなる努力を続けてきたのか。
資生堂名誉会長福原義春が「自己改革」の支えにした「自分の言葉」による「座右の銘」!
「リーダーは見えざる組織と戦って勝つものだ」
「幸せと不幸せは必ず二人一組でやって来る」
「よく動く人は、本人も知らないうちに
『偶然』や『運の種』をまいている」

丸の内本店 内松丸本舗ではオープン時より、福原さんの書斎の一部が再現されています。求龍堂から『私は変わった変わるように努力したのだ』を上梓された福原さんと編集担当の求龍堂・鎌田さんにお話を伺いました。
丸善 丸の内本店、松丸本舗の印象はいかがでしょうか。

福原  松丸本舗には最初から関わっていますから、簡単にいえば僕の家の延長みたいな気持ちもあって懐かしいところです。

丸善 出来栄えは、いかがでしょうか。

福原  書斎の一部分の再現ですから僕の読んだ本の全貌を現しているわけではないんですが、全体としてとても面白い試みです。

丸善 好きな本屋さんというと、どのような?

福原  やはり、松丸本舗のような本屋さんです。

丸善 普段、お出かけになる本屋さんは。

福原  大体、銀座の教文館です。でもめったに出かけないで、注文ばかりです。私は新聞広告だけでほとんど買っていますから。だから、新聞広告は近頃効かないねとおっしゃる本屋さんもありますが、僕はそうは思っていません。そういう人って必ずいるはずです。暇がないんですよ。ですから当たり外れは別として、とりあえず注文しちゃう。

丸善 書評は。

福原  書評よりも広告です。書評は、人によっては僕の読み方と違うし、当てにならないところもあるので。

丸善 ほかにも参考にされていることはありますか。

福原  あとは、友人があれは読んだほうがいいよ、と薦めてくれます。

丸善 口コミですか。

福原  そうですね。

丸善 福原さんにとって本とは何でしょうか。

福原  食べ物みたいなものです。食べ物は体に効くし、本は脳に効くし。

丸善 今までお読みになった本の中で心に残った1冊がありましたらお教えください。

福原  最近では『世界の測量 ガウスとフンボルトの物語』(三修社刊)。これはいいですよ。

丸善 測量というのは地面を測る測量ですか。

福原  そう。地理学のフンボルトと数学のガウスの二人の物語なの。片方はガウスですから抽象的な数学の話ですね。僕が帯を書いたときには五刷りでした。まだ、それがそのまま書店に並んでいるんじゃないですか。

他には、福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)。やはりこれもすばらしいですね。ご自身の研究体験と、世界の研究の歴史と、それから生物と無生物という哲学的な問いが、あの新書の1冊に入っているというのは大変なものです。

丸善 本の読み方というのは広く浅くですか、狭く深くですか。どちらかというと。

福原  松丸本舗の棚をごらんになれば広いということがお分かりになると思うんです。若いときから読んでいたのは徳間書店から出ている司馬遷の『史記』です。

丸善 どういったところが心に残っていますか。

福原  リーダーシップですね。それと、人間とは何かという問いだと思うんですよ。

丸善 では次に『私は変わった変わるように努力したのだ』という、この本についてお伺いします。この本をつくるきっかけ、経緯をお教えください。

福原  それは編集者の鎌田さんから話していただいた方がいいね。

鎌田  膨大な読まれた本が背景にあって、企業家としても第一線で活躍されていた福原さんの言葉というのをまとめてみたいと思い、申し入れたら、やってごらんなさいというご返事でした。それで、福原さんの70冊ぐらいに及ぶ著書、新聞雑誌などから言葉をまず抜きまして、約1000個以上ありましたが、それを福原さんにお渡しました。福原さんご自身が編纂されて最終的に167の言葉が入っています。

 今、言葉の本というのがドラッカーとかニーチェなどが読まれているということもありますが、日本人の英知の詰まった言葉を伝えたいという気持ちもありました。

丸善 ―本のつくりも凝ったつくりで非常に珍しいと思ったんですけど、フランス装で糸閉じなんですね?

鎌田  白いページを入れたり、一番先に福原さんの手書きのタイトルを入れたり、お写真を入れさせていただいたり、いわゆる「ビジネス書」というのとは少し違う、少し不思議なジャンルの本になったと思います。

丸善 これは多分、何十年も残る形のお仕事ですね。では、この中で、ここのところを読者には感じ取ってほしいというポイントみたいなものがあれば。

福原  僕が最後に選んだ幾つかの、たいてい自分でもいいと思っていますけども、でも、これは僕の言った言葉じゃなくて、福澤諭吉先生の書いたものの中にあるそうですが、「馬鹿不平多し」というのが、これは一番手っ取り早いですよね。

丸善 それはどういう。

福原  馬鹿は不平が多い、というんですよ。

丸善 馬鹿は不平が多いと、そのままですか。

福原  不平を言っているようなやつは馬鹿だと。それは先生の自伝を見れば、不平を言う暇はないですよね。一生涯やりたいことやったわけだから。

丸善 お幾つぐらいのときにこの言葉を知られたんですか。

福原 まあ、四、五十歳でしょ。

丸善 それ以来、もう、愚痴や不平は言ったことがないですか。

福原  いや、そんなことはありません(笑)。常に「今の政府はだめだ」なんて言っていますけどね。もう、いつもですよ。

丸善 では、ちょっと話は変わって、毎日の生活の中で一番楽しいことは何でしょうか。

福原  僕は、いろんな趣味をやりますからね。だから何でも楽しいですよ。

丸善 蘭の栽培と写真のほかには。

福原  猫を飼って、メダカを飼って、皆一緒に生活していますからね。

丸善 その猫を飼う、メダカを飼う、その他には。

福原 本を読む。ものを書く。はがきを毎日四、五通は書いています。

丸善 お書きになるときに、筆記具は。

福原  万年筆です。

丸善 本の中で、万年筆はパーカーとモンブランと書かれているんですが。

福原  それと、この前、松丸本舗を手伝ったときにいただいた丸善の黄色い万年筆「檸檬」ですすばらしいですね。パーカーとモンブランと檸檬。僕が使っているのを見て、皆が「欲しい、欲しい」というんですよ。だから「丸善だよ」と言ったら、皆、もうない、といってがっかりしています。

丸善 去年、弊社の創業140周年で1400本限定発売して、すぐに売り切れてしましました。今、弊社140周年ということを申し上げたんですが、資生堂さんは今138年ですね。

福原  大体同じ時代ですよね。

丸善 多分、丸善と資生堂は日本橋と銀座で張り合っていたと思いますが。

福原  同じように両社ともハヤシライスやカレーライスを売っていますね。この前、こちらの缶のビーフシチューをいただいてとてもおいしかったです。

丸善 では福原さんの好きな言葉は何ですか。お気に入りの言葉がございましたら、お教えください。

福原  好きな言葉ね。ちょっと難しいな。

丸善 いわゆる座右の銘というのは。

福原  座右の銘といわれるといつもその言葉を使っています。「馬鹿不平多し」と。

丸善 愚痴を言ってしまったときに思い浮かべてしまうとか。

福原  そうね。そうも言いながら不平言ったりするんでね。で、不平を言いながら、これはいけないと思っているわけですよ(笑)。

丸善 ありがとうございました。

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