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人形作家若月まり子さんの作品を12回にわたって先生ご自身にご紹介いただきます。
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若月まり子(わかつきまりこ) 人形作家。 1982年 エコール・ド・シモンにて四谷シモンに人形制作を学ぶ。
1993
年 長野県松本市で開催された「信州博覧会」三協精機館にてオートマタ(自動人形)の妖精人形を多用したジオラマ〈森の妖精〉を制作出品。
1997
年 岡山県倉敷市・倉敷チボリ公園のオルゴールハウスに依頼され、オートマタ〈人魚姫〉制作。
1998
年2月 東京・大丸、大丸ミュージアムにて開かれた「妖精の世界展」に90体におよぶ妖精人形で構成したジオラマ〈夏の夜の夢〉と等身大球体関節による桐塑・石塑人形の〈廃墟の庭園の妖精〉の2点の作品を制作出品。
2007
年7月 うつのみや妖精ミュージアム開館記念「若月まり子展」開催。毎年百貨店等で個展を開催。
現在、作品制作のほかに妖精画の制作など多面的に活動を展開中。
若月まり子さんのオフィシャル・ウェブサイト アトリエ・ラ・リュンヌ「クロニクル」
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「ケルトの薄明」
ウィリアム・バトラー・イエイツ
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湖にさざ波をたて、岸辺の葦をゆらし、緑なすシーの丘に向かって飛び去っていったものたち。 私たちは髪や衣服をはためかせられ、その気配に思わず立ちすくまずにはいられません。 喜びとも、悲しみとも、怖れともつかぬ、逆らいようもなく強い超自然の力に遭遇してしまったことに驚いて…… 今しがた美しい乙女をさらっていった一群の妖精たちが残していったつむじ風に巻かれたのだと気づいて…… 夢か現実かなどと問うてみてもしかたないこと。
これは誰かが作意を持って作り上げた物語などではありません。自然とともに生き、妖精と暮らすことを日常としてきたアイルランドの人々がほんとうに視たこと、感じたこと、体験したことを長い歴史をかけてその言霊で織りなしてきた世界なのです。ですから不思議なリアリティがあります。 イエイツは祖国アイルランドから立ち上るようなその幻想的なイメージの中に自らも漂いながら、それら愛すべき形のない芸術を私たちに伝えてくれます。 日本にも小泉八雲によって欧米に紹介された、また能のテーマにみられるような人々が語り継ぐ自然や精霊とともに生きるもののあわれの心があります。そんな土壌に生まれ幼い頃からヨーロッパの昔話で育ってきた私には透き通る翅をもつ妖精たちの姿がごく身近なものに感じられてなりません。 イエイツの語るケルトの伝承には幼い頃に心躍らせた昔話のルーツを探りあてたような喜びがあります。 そしてイエイツの詩には何者かがすでに夢の境界線を破って激しく異界へと誘う、吸い込まれるような感覚があり、また自分の中でも境界線を破って異界へ行こうとする抑えきれない願望が沸き立つような思いにかられます。 妖精たちにしばしば逢い、妖精たちについての知識をたくさん持っているのはごく貧しい人たちだとイエイツは言います。 妖精とは何か、妖精の国とは何かという問いに対する大きな答のひとつがその中にあるように私には思えます。 それは苦難の歴史の中で育まれたアイルランドの人々の豊かな想像力が生みだした唯一の救済の国、いつも身近にあって、いつか行くことのできる生きるために夢見る死の国、英知と力と美と始まりの国なのです。
「時」と「この世」とはいつも飛びさり。 愛よりも灰色の薄明がやさしく、 希望よりも朝の露が親しいところなのだ。(薄明のなかへ)
私はいつも想い描くのです。そこに棲む美しい妖精たちの姿を。 微かな光を放つ森の下草のなかにも、夜露に濡れてそっと翅をやすめている妖精がいるのかもしれない……・と。
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若月まり子人形作品『エオディアの妖精』
高さ27cm(座った状態) ビスクドール 2007年
若月まり子さんのオフィシャル・ウェブサイト アトリエ・ラ・リュンヌ「クロニクル」
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