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人形作家若月まり子さんの作品を12回にわたって先生ご自身にご紹介いただきます。
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若月まり子(わかつきまりこ) 人形作家。 1982年 エコール・ド・シモンにて四谷シモンに人形制作を学ぶ。
1993
年 長野県松本市で開催された「信州博覧会」三協精機館にてオートマタ(自動人形)の妖精人形を多用したジオラマ〈森の妖精〉を制作出品。
1997
年 岡山県倉敷市・倉敷チボリ公園のオルゴールハウスに依頼され、オートマタ〈人魚姫〉制作。
1998
年2月 東京・大丸、大丸ミュージアムにて開かれた「妖精の世界展」に90体におよぶ妖精人形で構成したジオラマ〈夏の夜の夢〉と等身大球体関節による桐塑・石塑人形の〈廃墟の庭園の妖精〉の2点の作品を制作出品。
2007
年7月 うつのみや妖精ミュージアム開館記念「若月まり子展」開催。毎年百貨店等で個展を開催。
現在、作品制作のほかに妖精画の制作など多面的に活動を展開中。
若月まり子さんのオフィシャル・ウェブサイト アトリエ・ラ・リュンヌ「クロニクル」
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「ラファエル前派」
ローランス・デ
・カール著
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ラファエル前派の画家たちの中で私はひときわバーン=ジョーンズ(Edward Burne-Jones 1833-1898)に魅かれます。
はるか下界を見下ろしながら薄い衣をはためかせ、つま先だった足どりでしずしずと夕暮れの天空を行く宵の明星。 甘い香りを漂わせるアーモンドの木の精霊となった身から、ありし日の美しい姿を現して恋人に腕をからませるトラキアの王女ピュリス。 いばらの花の咲きこぼれる古城で百年の眠りに包まれて王子を待つ可憐な姫。
バーン=ジョーンズの絵の一枚一枚は、すべてこの世のものではない夢幻の世界。 私たちの記憶のどこかにちりばめられてぼんやりとは知っているけれども、現実の壁にさえぎられて見ることのできない神秘の物語を鮮やかに描き出して見せてくれます。 どの絵の中も静謐でしっとりとした独特の空気で満たされ、その中で女神たちも精霊たちもひんやりとした気品をたたえてあまり言葉を発する様子もなく、もの静かです。 ただメランコリックな瞳だけが何かを遠く語りかけます。
それにもかかわらずそこに展開されている出来事は息をのむほどにドラマティックです。 画面の中の人物たちの無言の仕草や関係性、衣服や髪のたなびき様、綿密に設定されたドラマの場所となる背景。 深い色彩、何かの意味を込めて配された様々な小道具。 それらのすべてが重なり合って織りなされる寓意と高らかな情感が描かれた詩となって見る者の心を揺さぶります。
「私は絵というものは今まで存在しなかったし、またこれからも存在しないような何らかのロマンティックな夢だと思っています」とバーン=ジョーンズは語ります。 私の作品づくりもまさにこの言葉に沿っていけたらと願っています。
絵とは違い、人形作品は重要なメッセージである背景から抜け出て一人佇まなければなりません。 一体の作品が象徴的でありたい、一篇の詩のようでありたいということをいつも私は制作上の目標にしています。 そんな私にとってバーン=ジョーンズは長年の師であり続けています。 その画面全体で語ろうとしたことを一体の人形ならどう担ったらいいのかと私は師に問い続けているのです。 「廃墟の庭園の妖精」はバーン=ジョーンズの雰囲気を特に追いかけながら制作した作品です。
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若月まり子人形作品『
廃墟の庭園の妖精
』
高さ110センチ 桐塑・石塑人形 1998年 1998年東京大丸・大丸ミュージアム「妖精の世界展」出品作
若月まり子さんのオフィシャル・ウェブサイト アトリエ・ラ・リュンヌ「クロニクル」
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