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インタビュー | アルボムッレ・スマナサーラさん≪全1回≫ | « Main

インタビュー アルボムッレ・スマナサーラさん~的中する生き方

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アルボムッレ・スマナサーラ
(あるぼむっれ すまなさーら)
スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)長老。19454月、スリランカ生まれ。スリランカ仏教界長老。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)の講師を務めるほか、NHK教育テレビ「こころの時代」などにも出演。著書に『ブッダの実践心理学』、『起こらないこと』、(以上サンガ)、『原典「法句経一日一悟』(佼成出版社)、『仏教は心の科学』(宝島社)、『ブッダの幸福論』(筑摩書房)などがある。

3 24日に丸の内本店で『的中する生き方』刊行記念講演会を開催されました、アルボムッレ・スマナサーラさんにお話を伺いました。

-丸の内本店の印象はいかがでしょうか。

本当に楽しい本屋さんです。正直、一端入ったらなかなか出て行きたくない、締め出されるまで出て行きたくない気分になる大変暖かい本屋だと思います。本も整理されていて自分で発見しやすいですね。

-お好きな本屋さんというのはどのような本屋さんでしょうか。

 大きい本屋さんがいいです。人間というものはある日突然関係ないものでも調べたり読みたくなりますから、やはり、いろいろな分野の品揃えがある方がいいと思います。買うつもりがなくてもいろいろ見つかる可能性もあります。

-今まで読まれた本の中で心に残る本というのは。

 インド人が書いた小説をいくつか読んでみてびっくりしました。印象に残りました。特に The White Tiger というタイトルでAravind Adigaという作家が書いた小説です。

-最近の作家ですか。

 そうです。よくできているなと思ったんです。普段はどちらかというと仏教の専門的な本ばかり読んでいますが、The White Tigerを読んでから、いろいろ Delhi: A Novel (Khushwant Singh) などの インド人の小説を読むきっかけになりました。私の興味かもしれませんが、あの複雑な社会を見事に辛口に説明してあって印象に残っています。

―次に、今回書かれた、『的中する生き方』のことですが。本の主題が道徳ということなんですが、道徳を取り上げられた理由は。

 元々は講演でお話したことなんです。まず、道徳と言った途端にみんないやな気分になるんですね。それはなぜなのかということをセッションしたかったんです。私のポイントというのは年齢によらず道徳を嫌がるのはもっともなことだと。それは道徳と言って誰も道徳を語っていないからなんだと。だから我々は本能的にこんなのはいやだなという気分になるんですね。そこをはっきりさせたかったんです。道徳がいやだと思っても人間が悪いわけではないんです。それは道徳を語る人々に問題がある。では、道徳とは何なんだ、ということセッションしたかったんです。

 社会の問題は仏教から見れば道徳というひと言にまとめられるんですが、しかし、そのひと言が出た途端に宗教が絡んでくる、すごく堅苦しく感じてしまう。そういう道徳などで責められて縛られて生活しにくいし、だから自由な方が発展するんではないかという誤解があるんです。

そうではなくて、人間には平和で豊かで喧嘩しないで生きるためには何かガイドラインが必要なんです。商売をしていても不安でどんな会社でもいつ倒産するか分からない。自分ではがんばっても環境の変化で、たとえば、今、日本は何もやっていないのに、経済不振で日本の社会が世界で一番ダメージを受けているんです。

 そういうことがあっていいのかと。決してあっていいわけではないし、どうしてそんなことが起こるのか。それは私たちの生き方には大きな問題があると思うんです。他人のことをかまわないで自分だけという感じで生きているからなのではないかと。

 私たちの仕事は人に生き方を教えてあげることですから、そういうテーマで道徳に関するものを書きたかったんです。でも、周囲には道徳というテーマはそんなに人気がないだろうと言われていましたが、私の道徳の話を聞いてみてください、役に立つか立たないか自分で調べてみてくださいという意味で今回取り上げました。

-「ヒンドゥー・バラモンでは客イコール神と考えます」と書いてあるんですが、白川静先生という漢字学者によれば中国でも「客」という漢字はもともと「神」を表していたそうです。

 そうですね、インド文化と共通している可能性はありますね。

-その共通点があるということに驚きました。インド・中国文化圏というのがあったのかな、と思いました。

 私の国には神への信仰はないんですが、しかし、考え方としては「客」は大切にするべきであって「神」ですね。

我々の社会は自分以外の人々は「敵」とみるようになってしまいました。だから子どもたちにも「知らない人としゃべってはいけない」と。「敵」なんです。そこまで社会は崩れてしまいました。でも、それだと人間は成長しないんです。子どもたちは学校の友達と先生と親の顔しか見たことがない、しゃべったことがない。そうすると人格がすごく狭くなるんです。しかし現代社会では知っている人以外はみんな敵だ、怖いというふうに教えられます。

実際にそういうケースがあるからそうなるんであって、突然頭がいかれてしまったわけではない。人間が信頼できなくなっちゃったんです。それが、全体に響くんです。だからうまく行かないんです。人間を信頼できなかったら何を信頼したらいいんでしょうか。

この本では「神」といった神秘概念は使っていません。神を信じるに人も信じないに人も誰にでも正しい陽が当たるんだということです。私のポイントは「客は神」ということではなく、生命は尊い、尊いというより平等ですから、お互いに協力することによって成り立ちます。何かしら神秘的な言葉を持ってくるのは意味が分かっていないときなんです。真面目に神だと思ってもらわないと人間に優しくふるまわないということになりますから。そうではなくて、どんな生命にも優しくするべきということの方がもっと世界に通じるんではないかなと思います。

-では最後に読者の方にメッセージを。

 これは分かりやすく面白く書いていますから、堅苦しく勉強してやるぞという気持ちではなく軽く小説を読むような感じで読んでいただくと道徳の問題が解決できると思います。自動的に解決できるように書いてあるので、あまり苦労しなくていいのではないかと思います。そのためにいろいろ余計な話を書いてありますが、必ず役に立つと思います。

-ありがとうございました。

的中する生き方 役に立つ初期仏教法話10
アルボムッレ・スマナサーラ著 
サンガ刊 735円(税込)

的中する生き方とは道徳を実践した生き方のことです。みなさんは、「道徳」というものを斜に構えてみているにちがいありません。しかしそれは仕方のないことです。なぜなら、みなさんが「道徳」だと思ってみていたものは、実は「道徳」ではなく、「非道徳」だからです。本当の「道徳」はとても面白くて、挑戦的なものなのです。幸せで成功にみちあふれた人生という最高の秘宝にたどりつくための、かんたんでわかりやすい道しるべ、それが「道徳」なのです。

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