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日本橋店のイチオシ文具 その20

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萬年筆物語

丸善の原稿用紙 萬年筆物語 420円(税込) (右)
丸善のメモ用紙 万年筆物語 147円(税込) (左)

今回ご紹介するのは原稿用紙である。これは弊社のPR誌『学鐙』編集長をしていた内田魯庵が愛用していた。画家・ポスター作家である橋口五葉がデザインした原稿用紙を弊社が復刻し、原稿用紙とミニチュア版のメモ用紙に仕立てた。

夏目漱石が特注し春陽堂に刷らせていた原稿用紙は同じ デザインで龍頭の間に「漱石山房」と 篆書で書かれている。 どのような経緯で二人が橋口デザインの原稿用紙を使っていたのかは謎である。

弊社が発行している広報誌『学鐙』199311月号に半藤一利氏の「『漱石先生ぞな、もし』余話(5)」が掲載されている。半藤氏はここで、「漱石自家製の原稿用紙の、龍の首の真ん中に漱石山房の文字のないのを、内田魯庵が使っているという事実...これ(魯庵の原稿用紙)が漱石原稿用紙と寸分違わぬ」ことにびっくりしたと書かれている。半藤氏がご覧になった問題の原稿用紙がないかと弊社の資料を当たってみたら、内田魯庵直筆の大正10128日付「メリヤス案文数種 お気に入つたのをお択びの事」と始まる、おそらくは宣伝文とカットについての指図書、を発見した。中ほど以降は私信であり「此日医師の許可を得て入浴..」とあり、何かの病気の予後であることがうかがい知れる。


当時の朝日の新聞小説が一段19文字であったことから、たて19文字、横10行の190字詰めとなっており、漱石がこの原稿用紙をいたく気に入っていて、その後、新聞小説がたて18文字に変わってからもこの原稿用紙の下一マスを空けて用いた話は有名である。ちなみに、「漱石山房」入りの版木が神奈川県近代文学館に所蔵されており、同館は原稿用紙の復刻版も出版している。

特筆すべきは、弊社の復刻原稿用紙はたて20文字で200字詰めとなっており、現在にも通用する。お気に入りの万年筆と約100年前にデザインされた原稿用紙で何か文を捻ってみるのもまた一興である。

まさに日本橋店イチオシの逸品である。

 

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